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棚田康司 (彫刻家) の記事一覧 (4 件)
ENTRY #4
初日の出
Date: 07.01.10 AM10:38

2007年の年明けは明石海峡大橋のたもとにある実家で過ごした。家は高台に建っていて、前は広い公園なので、普段ごちゃごちゃした住宅街に住む僕にとって、信じられないくらい見晴らしがいい。瀬戸内の海と淡路島、また、間近で見る大橋も圧巻だ。自慢話のようだが、ここの環境はすばらしく、美しい。年末、家の前の公園を散歩していて、あまりにきれいな夕焼けを見た。そういえば、親父が“ここからは日の出と日の入りの両方を見ることができるんや。”と言っていたのを思い出した。今年はひとつ、最も苦手とする早起きをして、初日の出を拝んでみるかと秘かに思った。
元日の朝目覚めた時、空はもう白々としていた。急いで着替えを済ませ、外に飛び出す。玄関の鍵が開いていたので親父はもう海に向かっているに違いない。そんなに寒さを感じなかったのは、初日の出を生まれて初めて見るということに、興奮していたからだろうか?僕は海には向かわず、公園から見ることにした。ほぼ360度視界を遮るものの無いこの公園は、絶好の鑑賞ポイントであると同時に、とにかく近い。
もう何人も人が集まっていた。大型のカメラを持参している人もいる。毎年元日の早朝のここは、こんな感じなのだろう。空には雲があるものの、太陽が昇ってくるだろう位置はぽっかりと晴れている。手前に見える連山が逆光で切り絵のように真っ黒だ。山のスカイラインは、ぼけることなくはっきりとしていて、空と地上を確実に光と闇に分断している。僕はあらためて、ラインて大切やなあ、と思った。
黒い山の向こうから、物凄い勢いで光が溢れ出してきた。どんどん光が地上に流れ込んでいく。光のパワーは予想以上で、僕は自分の瞳の絞りを精一杯絞らなければならなかった。同時に、僕の体の中で、やる気がむくむくと湧いてきた。ほかの人も圧倒的な自然を見るとやる気を起こすだろうか?あまりに幻想的な風景に、よぉーし!やるぞぉ!!という、クサい声が僕の中から聞こえてきた。

ENTRY #38
『トップランナー』出ます。
Date: 07.05.21 PM02:36

0079.jpg5月の初め、僕のアトリエにNHKの番組『トップランナー』の取材がやって来た。彫刻制作の様子を何日も根気よく撮影していった。
遅々として進まない僕の作業に、よく付き合って下さったものだと思う。取材されつつ、番組制作という仕事も大変だと思った。時間と労力をかけて様々なシーンの映像を集め、またそれらを限られた時間の中に凝縮させていく。彫刻の仕事と共通する部分もあるんだなと、意外な発見をしたりもした。
新たな出会いも楽しみのひとつ。担当のディレクターさんは、面白く魅力的な方だった。(男性)違う職種の方と『良いものを作りたい』という共通した目標の下に仕事ができたことは、とても良い経験だったと思う。
5月中旬、のどかな夕暮れにアトリエでの撮影は無事終了。スタジオ収録も終わり、後はディレクターさんの編集作業にお任せするのみ。

OA予定 6月2日(土)23:00~23:45
NHK教育興味のある方は、是非見てください。

ENTRY #56
御礼
Date: 07.07.03 PM10:48

6月の初めに出演させていただいた『トップランナー』がオンエアーされて、一ヶ月が過ぎました。

その間、本当に多く方から、様々な感想をいただき、嬉しい限りです。


懐かしい友人から季節の果物が贈られてきたり、

小学校、高校の同級生からメールや電話も届きました。

ベルリン日本人学校で知り合った方からの手紙も嬉しかった、、、。

また、スタジオ収録の時にずっと見守ってくれた友人や学生さんたち、

作品移動を手伝ってくれた後輩やギャラリースタッフ。

快く出演してくださった舟越桂さん。

そして、番組制作の関係者の方々、、、。


皆さん、どうもありがとうございました。

                           棚田康司


*今日、来年秋の個展用の作品3体目のかたちがほぼ出来あがった。あと9体かあ、、、。

ENTRY #95
感動した彫刻 
Date: 07.09.21 PM06:54

彫刻を見て涙が出てきたことが、二回ある。

一度目は、2001年のドイツ滞在中、クレクリンゲンいう田舎街にある教会の中でのことだった。
リーメンシュナイダーという中世の彫刻家が作った「昇天のマリア」を見たとき、
あまりにも美しい木彫の前で、何故か自然と涙が出てきた。
何故、涙が出てくるのかわからなかった。
でも、僕はそのまま食い入るようにマリア様を見ていた。

二度目は2003年、「彫刻の身体」展に出品していた森淳一さんのrunという作品を前にしたとき。
精緻に彫られた真白い大理石は、素材を超えて別のもののようになっていた。
一人の作家が全身全霊を込めて、ただ眼の前にある素材を何日もかけて格闘した証し。
一見、触れたらバラバラと壊れてしましそうな彫刻は、僕には恐ろしく強固に存在を示してくれた。
作品は、人の頭よりも上に壁展示されていて、見上げて鑑賞することしかできない。
突然、作品が白い壁にじんわりと同化していくようになった。
僕は泣いていた。
涙がレンズのようになっていたのだった。
顔をさげると、ポタポタと涙が落ちた。

その森さんがグループ展をするようだ。
新展開がありそうなので、今からとても楽しみにしている。


アテンプト :森淳一、柴田健治、谷山恭子、田口和奈
9月26日(水)~12月9日(日)
カスヤの森現代美術館
http://www.museum-haus-kasuya.com/